指導者やまわりの仲間から、「もっと歌って」と言われたことはありませんか?
趣味で楽器を吹いている人なら一度は聞いたことのある言葉だと思います。歌のない演奏は「棒吹き」なんて言われていて、それによって傷ついた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「もっと歌って」言われた時みなさんならどんなことを試しますか?
・音楽に合わせて身体を揺らして演奏してみる
・顔に表情をつけて演奏してみる
私が最初にやってみたのは上のようなことでした。でもあまり効果的ではなかったというのが正直な感想です。まわりの人達でも、これらを試して歌のある演奏になったという例をあまり見たことがありません。
それなら一体歌うような演奏をするにはどうしたらいいんだ、と私は何年も疑問に思っていました。
私は上達するとはどういうことなのか、音楽の専門家や専門家を目指す人がどのような考えでどのような練習をしているのかということにすごく興味があり、Youtubeでレッスン動画やリハーサル動画をたくさん見ています。
何年か前、私は一つの動画に出会いました。音大を受験しようとするフルート専攻の学生がレッスンを受けるという内容です。生徒さんは非常に上手な方で、とても綺麗な音で器用に吹いているのですが、あるところで先生が演奏を止めました。今はその動画を探し当てることができずうろ覚えなのですが、ある音を2拍吹いて一つ下の音に繋げるという、一見すると簡単そうな場面でした。私も理由は分かりませんが、聞いていて何か少し硬い印象を受けるなと思っていました。そこで先生が言った一言。
「息が歌ってないんだよ」
これを聞いた生徒さんは次に、さっきまでが嘘のような見事な演奏をし、先生も「そうそう」と満足そうにしていました。たった2つの音でです。これは私にとって非常に印象的な出来事でした。。
でもこれをどう活かしてけばいいのか、その後もしばらく私にはわかりませんでした。
そこからまた何年かして、所属する楽団のメンバーが「棒吹き」と言われて悩んでいた時のこと。周りの人が「もっと歌って吹いて」と言いますがなかなか演奏が変わりません。彼を見ていて、ふとあの時の動画を思い出し、私は一緒にあることを試してみました。するとどうでしょう、たどたどしいながらも本当に歌っているような演奏になったのです。あの先生が言っていたのはこういうことだったんだのかと理解できた感動的な瞬間でした。
アマチュア音楽家として活動する多くの方が直面するであろう悩みや疑問を、
コメント