「棒吹き」に悩むあなたへ

先生や先輩から、「棒吹きになってるよ、もっと歌うように吹いて」と言われたことはありませんか?一生懸命演奏しているのに「棒」みたいなんて言われるのは悲しいですよね。

今回は棒吹きを卒業するためにまずやるべきことを解説します。

この記事を読んで実践すれば、二度と棒吹きなんて言われることはなくなるはずです。また棒吹きと言われた経験のない人でも、この吹き方を意識すると今までより吹きやすくなる効果があると感じています。

私がこの方法をおすすめするのは、棒吹きと言われて悩んでいたKさんに試してもらったところ、見違えるような演奏になった経験があるからなんです。あなたの演奏にもきっと変化が表れますよ。

一度でも効果を感じられるはずですが、意識的に続けることによってより素敵に演奏することができるようになると思います。是非一度試してみてください。

棒吹きとは何か

いろいろな意見を聞いて私が思うのは、人によって棒吹きという言葉の意味が微妙に違うということです。大きく分けると次の2つです。

  1. 文字通り棒のようにまっすぐで抑揚のない一本調子の演奏のこと
  2. 音楽的な表現に欠ける演奏のこと

今回私が取り上げているのは1の意味での棒吹きです。2に関してはまた別の記事で触れたいと思います。

1の棒吹きがどんなものか、ものは試しに楽器を使って実際にやってみましょう。

まず何でもいいので一つの音をまっすぐな息で長く伸ばしてみてください。いわゆるロングトーンですね。

次に、これも何でもいいので知っている曲を吹きます。この時、先ほどロングトーンで使った息の使い方で吹いてみてください。まっすぐ、一定の息で。動くのはキー操作する指だけです。

こうすると、抑揚のない硬い演奏になりませんか?これが私の言う意味の棒吹きです。ちなみに今のやり方だと吹きにくい、意識的にやらないとできないという方は棒吹きではないと言えます。

間違った対処法

棒吹きを指摘された時にやってしまいがちなことについて触れておきたいと思います。歌うように、表現豊かに演奏しようという思うあまりこういうことをする場合が多いです。

  • 音楽に合わせて身体を大きく揺らして演奏する
  • 顔の表情を動かして演奏しようとする

みなさんもこのような経験があるかもしれませんね。

結論を言うとこの方法で演奏がよくなることはほとんどありません。ただし、身体や顔を使っているという点で、私はとても正解に近いやり方であると考えています。

そう、棒吹きというのは、音楽性や表現力といった感性の問題ではなく身体の使い方で解決できることなのです。

「棒吹きとは何か」の章で棒吹きに二種類あることを明確にしたのは、1は身体の使い方の問題であり、2は音楽をどう捉えるかという知識や感性の問題だからです。ここがあいまいなせいで棒吹きから脱することができずに苦しむ人がすごく多いと感じてきました。

歌うとは何か

「棒吹きになっているよ」「歌うように吹いて」

この2つは必ずと言っていいほどセットで言われることです。つまり、棒吹きをしている人は歌っていないと捉えることができます。

次はこの、「歌う」ということについて考えてみましょう。これも人によって意味が違います。

  1. (そのままの意味で)人間が自分の声で歌を歌うこと
  2. (もう少し複雑な意味を込めて)音楽をより豊かに表現すること

ここでも今回私が言いたいのは1の意味です。2についてはまた別の記事で考えていきたいと思っています。

世の中の棒吹き改善に対するアドバイスの多くが2に関することだというところに、私はずっと疑問を感じていました。2はもちろん大切なことですが、棒吹きという悩みに限って言うともっと手前でやらなければいけないことがあると思うのです。

人間が歌を歌うということ、それは自分の身体を楽器として使っているということに他なりません。上手下手、音楽的な表現というところはいったん置いておいて、歌うことには物理的に自分の声を変化させるための身体運動がともなっているはずです。

それがです。1のです。

この身体運動こそが、棒吹き改善の鍵になると思うのです。

楽器で歌うとはどういうことか

いよいよ本題です。

長々と話してきましたが、私の結論はこれです。

楽器を演奏する時に、歌っている時と同じように身体を使う

試しに自分の声で実際に何か歌ってみてください。※できれば楽器で練習中の曲がおすすめです。

人間の身体には楽器のように音を上げ下げするボタンはついていませんが、声を変化させるために身体のどこかが動いているはずです。自分の身体のどこが動いているかよく観察しましょう。

多くの人が上半身に動きを感じると思います。声を変化させるために、呼吸に関わる肺や、声質や声の高さに関わる声帯、声の響きに関わる顔の筋肉が動いているのを感じますか?最初は無意識かもしれませんが、これはあなた自身が動かしているのです。

声を出してこの動きが意識できるようになってきたら今度は声を出さずに身体だけで歌ってみましょう。声を出している時と同じように身体の動きを再現するんです。より感覚が掴みやすいように何度かやってみてください。これに慣れたら今度は楽器を構えた状態で、声を出して歌う、声なしで歌うというのをくり返してみましょう。どうですか?慣れてきましたか?

これこそが、楽器を演奏する時に必要な身体の動きなのです。次はいよいよ、歌っている時と全く同じように身体を使って楽器を演奏してみましょう。手に持っている楽器だけでなく自分の身体まで、楽器として存分に使ってください。

どうでしょう。かなり大きな違いがあったのではないでしょうか?ちなみに下は私のイメージです。

私は専門家ではないので詳しいメカニズムはわかりませんが、おそらくその音に必要な状態に変化させることで身体が楽器と共鳴しやすくなる、というようなことが起こっているのではないかと予想しています。棒吹きと言われた経験のない人でも意識的に取り入れることで、今まで以上に楽器が吹きやすくなるのではないでしょうか。

常にこれを意識して楽器を吹くことを心がけてみてください。

まとめ

棒吹きになってしまう人は、楽器を吹くことに一生懸命になりすぎて自分自身が歌うことを忘れてしまっているのだと思います。楽器の操作に慣れない内は仕方のないことなのかもしれません。

でも考えてみてください。まだ言葉もうまく喋れない小さい子だって歌を歌いますよね。これは歌が、言葉や何かの技術より先にあるということの証明だと思いませんか?

音楽というのは器械を操作することではなく、まさに歌うことなのです。

楽器を吹く時も、心で、身体で、歌いましょう!

最後に

今回棒吹きをテーマにお話ししてきましたが、棒吹きになってしまう人も好きでそうなっているわけではありません。周りにそういう人がいたら心ない言葉をかけるのではなく、是非この記事に書いてあることを一緒に試してみてください。きっと素晴らしい発見があって、みんなで音楽をもっと楽しめるようになるはずです。

音楽が好きなのに、傷ついてやめてしまう人が一人でも減りますように。

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