みなさんは音楽を演奏するためにどんな基本練習をしていますか?
よくやるのは、全ての音のロングトーン、スケール(音階)練習、音の跳躍練習などでしょうか。これらを全てやろうとするとすごく時間がかかりますよね。
部活動や趣味で楽器を吹いているみなさんは、限られた時間の中で音楽を楽しんでいることと思います。演奏会が控えていたりすると、曲の練習もしなくてはいけません。そんな中で、曲練習の前の基本練習にどのくらい時間をかけるべきか悩むことってありませんか?
今回の記事では、この問題に私なりの大胆な提案をしていきたいと思います。曲練習に時間が取れなくて悩んでいる方にとって一つのヒントになれば嬉しいです。
基本練習とは何か
そもそも基本練習って何のためにするんでしょうか。それはもちろん曲をより魅力的に演奏するためですよね。ひとつひとつの音を美しく、その美しい音が美しく連なって素晴らしい音楽になる、というのが目的でしょう。
でも、みなさんの基本練習は本当に曲の魅力アップにつながっていますか?あまりそれは実感できていないけど周りのみんながやっているし自分もやらないと、とか、昔先輩にやりなさいって言われたからなんとなくやっている、とか、そういう人も意外と多いのではないでしょうか。
楽しく音楽を演奏するのが目的なのに、効果を実感できない基本練習をやり続けるのは苦しいですよね。もっと上手に基本練習と付き合っていく方法はないものでしょうか。
思いきってやめてみない?
私からの提案です。
曲練習に入る前になんとなくやっている基本練習、やめてみませんか?
すごく乱暴な意見に聞こえるかもしれませんが、私は本気でそう考えています。一日の最初にいきなり曲の練習をしてはいけないなんて決まりはありません。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがあります。好きなことを楽しくやっていれば意識しなくても自然と上達する、という意味です。みなさんにとって曲を演奏することこそ、「好き」なことではありませんか?それなら好きなだけ曲を演奏すればいいのです。
ただしその上で、なんだか上手くいかないな、思ったとおりの演奏じゃないなと思ったその時!その時こそが基本練習をすべき時だと思うのです。自分の演奏に必要なところだけ基本練習でカバーする、それだけです。
もっとこういう風にしたいと思うこと、つまり課題がはっきりしていれば、どんな基本練習をすればいいのか考えるようになります。教本を持っているならその中から関係がありそうなことを抜き出してやってみてください。曲の中で活かせるように意識して練習しますから、目的なくやるよりずっと上達につながるはずです。
この、「目的を持ってやる」のがポイントです。目的は基本練習が上手にできるようになることではありません。基本練習で身につけたものを大好きな曲の演奏に活かすことこそが目的のはずです。
基本練習というのは、目的のために利用するものなのです。
とは言っても基本練習って必要なんじゃないの?
とみなさんが思っているのが聞こえてくるようです(笑)
プロの演奏家はさぞかしたくさん基本練習をしてきたことでしょう、時間をかけて丁寧に。上手になりたいのであれば自分もそんな風にしないといけないんじゃないか、と思ってしまいますよね。
あくまでも私の想像ですが、上手な人達はまず基本練習を基本練習と捉えていないように思います。プロの演奏家が自分の練習シーンを公開するのはまれなことですが、探せばありますのでYouTubeで検索してみてください。教本の上で味気なく並んでいる音符を、彼らは驚くほど美しく演奏します。実際の音楽のためにやっているから、基本練習自体も美しくなるのだと思います。言い方を変えると彼らにとっては基本練習も「音楽」なのです。
こんな風に基本練習も音楽として美しく演奏しようという姿勢で取り組むことができれば、上達のスピードはぐんぐん上がると思います。全ての基本練習に意味を持たせられるようになるんですね。
アマチュア演奏家はもっとわがままでいい
プロの演奏家はやりたい曲だけ選んで演奏できるわけではありません。演奏会の依頼があって、この曲を吹いてくださいと言われたら、プロである以上「私この曲あんまり好きじゃないのでやりたくないです」とか「私この部分難しくて吹けないので無理です」なんて言っていられないわけです。そうなると、どんな曲でも対応できるように、常に全ての技術を磨いておく必要があるのだろうと思います。
でも私たちはそうではありません。部活や楽団に所属している場合自由にできない部分もありますが、基本的には自分の好きな曲、憧れの曲を吹いていいはずです。ですから、その曲を演奏するために自分に足りないところだけかいつまんで基本練習の助けを借りると考えていいのではないでしょうか。
とにかく、基本練習に必要なのは目的です。目的がはっきりしない基本練習は、思いきってやめてしまいましょう。
好きな曲を楽しく吹いていくうちに、やめていた基本練習の必要性に気づく時がくるかもしれません。その時にあらためてその基本練習に取り組めば、ちゃんと「実になる基本練習」になるはずです。
まとめ
基本練習をしなくていいなんて、すごく乱暴な意見に聞こえてびっくりした方もいるかもしれません。
でも私は、基本練習のことに限らず、音楽が好きでやっているはずなのに、「〜しなければならない」に縛られて苦しんでいる人たちが多すぎると感じているのです。音楽は、人間にとって喜びでしかないはずなのに、「〜しなければならない」で音楽を嫌いになってしまう人が一人でも減って欲しいと思います。
「〜しなければならない」がなくても音楽は楽しめると信じています。
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